到達目標
分布定数回路について、四端子行列、散乱行列のパラメータを用いた基礎的な解析ができる。
応力とひずみについて、基本説明と基礎的計算ができる。
熱が実装に及ぼす影響に関して、基本説明と熱抵抗を用いた基礎的計算ができる。
信頼性や故障率の定義と概念や、信頼性試験方法について理解し説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
高周波回路の解析 | 分布定数回路により高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できる。さらに、伝送線路を介した整合のとり方について説明できる。 | 高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できる。さらに、高周波領域における回路定数の測定原理について説明できる。 | 高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できない。また、高周波領域における回路定数の測定原理について説明できない。 |
材料力学の基本 | 形状の異なる材料における、複雑な応力ひずみ関係、ひずみの経時変化について理解し説明できる。また、断面形状が一様でない部材の応力、ひずみを計算できる。 | 応力とひずみについて理解し説明できる。また、断面形状が一様な部材の応力、ひずみを計算できる。 | 応力とひずみについて説明できない。また、応力、ひずみを計算できない。 |
熱解析の基本 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式を理解して説明できる。さらに、伝熱量を計算できる。 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式について説明できる。 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式について説明できない。 |
信頼性技術 | 信頼性工学の重要性について理解し、説明できる。また、信頼性技術に関する用語について十分な説明ができる。 | 信頼性工学の必要性について説明できる。また、基本的な信頼性技術に関する用語について説明ができる。 | 信頼性工学の必要性について説明できない。また、基本的な信頼性技術に関する用語について説明ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3
説明
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教育方法等
概要:
本科目では、電子機器を実現するうえで不可欠な実装技術に関して、関連する技術分野の基礎的な事項を講義する。
中心とする技術分野は、超高周波回路、材料工学、熱工学、信頼性工学、の各基礎分野である。
授業の進め方・方法:
まず、分布定数回路の考え方を中心にして、高周波の伝搬と伝搬路や負荷特性の表現式について説明する。ここでは特に、超高周波回路の解析でよく 用いられているスミスチャートについて詳しく取り上げる。シミュレータ利用が可能な場合には、その演習を併用する。これらの学習を通して,二ポート回路の基礎公式と接続法,フィルタ回路への応用,分布定数回路に 関する定性的な知見と定量的解析能力を養う。ついで、実装構造を実現する視点から、材料工学の基礎として、応力とひずみ、ならびに破壊現象について説明する。そのうえで、熱が実装に及ぼす影響、ならびに熱抵抗を用いた解析手法について説明する。これらが実装に及ぼす影響を踏まえた上で、さらに、信頼性技術に関わり、そのうえで、信頼性の概念・用語の定義と評価手法に主眼を置いた説明を行う。最後に、実装構造の例として具体的 に、半導体パッケージを取り上げて、実装構造に関わる説明を加える。
注意点:
規定授業時数は60時間です。本科目は90分の授業に対して、90分程度の自学学習が課せられます。自学自習では、超高周波回路の解析演習、ならびに、テキスト記載のキーテーマやキーワードの習得に努めてください。評価は、定期試験全4回の点数と授業内容に関連した演習・課題・レポート点とを80%と20%に配分して評価し、60%以上の得点率で目標達成とみなします。なお、シミュレータ演習実施の場合には、実技面にも配慮して、その配分を70%と30%にすることがあります。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
実装工学の技術的な位置付け、授業内容概要、学習方法を理解する。
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2週 |
分布定数回路の基本方程式と分布定数線路の解析(1) |
線路の場合についての基礎方程式を理解し、その導出ができる。
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3週 |
分布定数回路の基本方程式と分布定数線路の解析(2) |
基礎方程式から主要なパラメータを導出できる。さらに、整合器、バランなどへ応用できることを理解し説明できる。
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4週 |
分布定数回路の基本方程式と分布定数線路の解析(3) |
伝搬波に関わる各種定数相互の関係を理解し、それら定数を用いて回路中の電圧、電流の状態を計算できる。 また、定在波について理解し、説明できる。
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5週 |
四端子網の基礎公式・等価回路と変換(1) |
四端子回路網の行列による表現法,各種パラメータの意味、などについて説明と計算ができる。
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6週 |
四端子網の基礎公式・等価回路と変換(2) |
Sパラメータについて理解し、説明することができる。
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7週 |
高周波伝送路(1) |
高周波実装で用いられる各種伝送路の形式と特質を理解し説明できる。
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8週 |
高周波伝送路(2) |
各種伝送路の電波伝搬姿態と線路設計式について理解し説明できる。
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験 |
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10週 |
スミスチャートと高周波回路(1) |
スミスチャートの原理を理解し、説明できる。
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11週 |
スミスチャートと高周波回路(2) |
スミスチャート上に負荷インピーダンスを表すことができる。また、スミスチャート上から負荷インピーダンスを読み取ることができる。
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12週 |
スミスチャートと高周波回路(3) |
スミスチャート上に描かれたRLC回路の周波特性について理解し、説明することができる。
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13週 |
スミスチャートと高周波回路(4) |
スミスチャートを用いて、集中定数素子によるインピーダンスマッチングができる。
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14週 |
スミスチャートと高周波回路(5) |
スミスチャートを用いて、線路を介した負荷に対してのインピーダンスマッチングを行うことができる。
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15週 |
前期期末試験 |
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16週 |
答案返却 |
問題解答を復習し、さらに、必要な補足説明、関連事項について講義を受ける。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
材料力学および機械材料の基本概念 |
実装工学における材料力学の重要性について、理解し説明できる。
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2週 |
応力とひずみ(1) |
基本的な概念のうち、圧縮応力、引張応力、せん断応力、について理解し、説明できる。
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3週 |
応力とひずみ(2) |
応力とひずみとの関係について理解し、実装との関連において説明できる。
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4週 |
応力とひずみ(3) |
単位系を理解したうえで、応力とひずみについての計算ができる。
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5週 |
応力とひずみ(4) |
経時変化と疲労について、理解し説明できる。また、高周波実装において用いられる金属材料に関わり、鉄鋼材料、アルミニウム材料についてその概要を理解し、説明することができる。
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6週 |
熱設計の基本概念 |
実装工学における熱設計の重要性について、理解し説明できる。
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7週 |
各種伝熱形式における熱移動 |
熱移動における基本的な概念である、熱伝導、対流、放射、について理解し、実装との関連において説明できる。
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8週 |
後期中間試験 |
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4thQ |
9週 |
熱回路網法(1) |
単位系を理解したうえで、熱抵抗を用いた伝熱量についての計算ができる。
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10週 |
熱回路網法(2) |
熱抵抗を用いた伝熱量についての簡単な計算ができる。
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11週 |
信頼性の定義と内容 |
半導体デバイスや電子装置などについての信頼性、故障率等の定義を理解し説明できる。 故障率などの信頼性項目についての計算ができる。
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12週 |
半導体デバイスの故障率 |
典型的な故障率と時間との関係について理解し、説明できる。また、故障率と信頼度についての簡単な計算ができる。
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13週 |
集積回路の故障原因 信頼性試験と故障への対策 |
MOS集積回路の故障、例えば、エレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーション等の特性や原因を理解し説明できる。半導体デバイスや電子装置などについての主要な信頼性試験方法を理解し説明できる。 故障対策としての設計方法や製造方法等を理解し説明できる。
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14週 |
パッケージ実装の実際 |
各種システムに用いられるマイクロ波受動/能動回路の概要を理解し説明できる。
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15週 |
後期期末試験 |
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16週 |
答案返却 |
問題解答と必要な補足説明を行い、進路に応じた学習についても説明する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題演習 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 10 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 0 | 0 | 30 |
専門的能力 | 40 | 5 | 5 | 50 |
分野横断的能力 | 10 | 5 | 5 | 20 |