概要:
本科目では4年次に学習する古典制御を発展させ、現代制御論の基本である状態方程式の導出、可制御性・可観測性判別、可制御正準形への変換、極配置・最適制御などの制御器設計法について講義する。また、コンピュータシミュレーション技術についても学ぶ。演習とシミュレーションにより学習項目の定着を図る。
授業の進め方・方法:
現代制御論を講義で解説するとともに演習問題に数多く取り組む。また、シミュレーションプログラムの作成も通じて理論と実践をバランスよく体得する。
注意点:
この科目は学修単位のため、30時間相当の自学・自習が求められる。本科目の授業では主に講義形式で行う。本科目は積み重ねの学習が必要で、それを応用したレポートの提出を求めるため各自相応の作業時間を必要とする。なお、年間総合評価が60点に満たない場合は、再提出したレポートや再評価試験にて評価する。再評価でも60点に満たない場合は単位を認定しない。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
本講義の学習内容や目標、評価方法について理解し、説明できる。
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2週 |
システムの記述(1) |
状態変数および状態方程式の役割について理解し、説明できる。
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3週 |
システムの記述(2) |
RLC電気回路について状態方程式を導出し、ブロック線図や伝達関数で表現できる。
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4週 |
状態遷移行列 |
状態遷移行列の性質や計算ができる。
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5週 |
システムの応答と安定性(1) |
固有値と安定性の関係、対象の応答特性を説明できる。
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6週 |
システムの応答と安定性(2) |
固有値と安定性の関係、対象の応答特性を説明できる。
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7週 |
前期中間試験 |
前期中間までの学習範囲について到達度を確認し、改善することができる。
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8週 |
前期期末試験答案返却 |
前期中間までの学習範囲について到達度を確認し、改善することができる。
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2ndQ |
9週 |
可制御性(1) |
システムの可制御性の概念を理解し、可制御性判定ができる。
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10週 |
可制御性(2) |
状態方程式で記述されたシステムを可制御正準形に変換し、可制御性の判定ができる。
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11週 |
可制御性(3) |
対角正準形や可制御正準形に等価変換されたシステムをブロック線図で表現できる。
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12週 |
可観測性(1) |
システムの可観測性の概念を理解し、可観測性判定ができる。
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13週 |
可観測性(2) |
双対システムの概念を理解し、可制御性との対応関係を説明できる。
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14週 |
可観測性(3) |
双対システムの概念を理解し、可制御性との対応関係を説明できる。
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15週 |
前期定期試験 |
学習範囲について理解し、説明をすることができる。
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16週 |
前期期末試験答案返却 |
学習範囲の到達度を確認し、改善を図ることができる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
極配置法(1) |
極配置の概念を理解し、係数比較法により、状態方程式で表された線形システムの閉ループの極を希望する位置に配置できる。
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2週 |
極配置法(2) |
可制御正準形を利用した方法により、状態方程式で表された線形システムの閉ループの極を希望する位置に配置できる。
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3週 |
極配置法(3) |
アッカーマンのアルゴリズムを用いて、状態方程式で表された線形システムの閉ループの極を希望する位置に配置できる。
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4週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(1) |
極配置について、制御系CADを用いて状態フィードバックゲインを導出できる。
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5週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(2) |
極配置について、制御系CADを用いて状態フィードバックゲインを導出できる。
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6週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(3) |
極配置について、制御系CADを用いて状態フィードバックゲインを導出できる。
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7週 |
後期中間試験 |
後期中間までの学習範囲について到達度を確認し、改善することができる。
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8週 |
後期中間試験答案返却 |
後期中間までの学習範囲について到達度を確認し、改善することができる。
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4thQ |
9週 |
最適レギュレータ(1) |
最適レギュレータの概念を理解する。行列の正定・負定の判定ができる。
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10週 |
最適レギュレータ(2) |
重み行列の各要素を変数で置くことで、リカッチ代数方程式の解を求めることができる。
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11週 |
最適レギュレータ(3) |
ハミルトン行列を理解する。有本-ポッターの方法を適用し、リカッチ代数方程式の解を求めることができる。
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12週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(5) |
制御系CADを用いて最適レギュレータゲインを設計することができる。重みの変化とゲイン、応答の関係を分析できる。
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13週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(6) |
制御系CADを用いて最適レギュレータゲインを設計することができる。重みの変化とゲイン、応答の関係を分析できる。
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14週 |
制御系CADを用いた設計とシミュレーション(7) |
制御系CADを用いて最適レギュレータゲインを設計することができる。重みの変化とゲイン、応答の関係を分析できる。
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15週 |
後期定期試験 |
学習範囲について理解し、説明をすることができる。
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16週 |
後期期末試験答案返却 |
学習範囲の到達度を確認し、改善を図ることができる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 3 | |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | |
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。 | 3 | |
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。 | 3 | |
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。 | 3 | |
自然科学 | 物理 | 物理 | 物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前3 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前3 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 3 | 前4,前5 |
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 3 | 前4,前5 |
制御 | 伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。 | 4 | 前3,前4,前5 |
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。 | 4 | 前3,前4,前5 |
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。 | 4 | 前5,前6,前7 |
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。 | 4 | 前5,前6,前7 |
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。 | 4 | 後5,後6,後7 |
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4 |