到達目標
有限要素法に基づくプログラムを使い,その使い方を体験する.さらにその理論的背景を理解し,有限要素法で得られた結果が,さらに既存の理論で定性的にあるいはおおよその値であっているかを確認する能力をつけることを目標とする.
【V-A-7:1-6】弾塑性有限要素法プログラムを実行し,得られた結果を可視化することで,導入した構成式・境界条件に依存した近似解についてエンジニアとして理解できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
モノづくりにおける弾塑性力学の位置付けと役割を理解し,物理現象の数学的表現を理解する. | 現象論塑性構成式による応力評価と,導入した構成式の限界について検討できる. | 各種塑性構成式が表現する応力-ひずみ関係が理解できる. | 各種塑性構成式が理解できる. |
得られた数値シミュレーション結果を理論的に考えて吟味できる能力を身につける. | 用いた離散化精度と解析結果について検討を行い,得られた解析結果について議論ができる. | 右に加えて,効果的な要素分割と得られた解析結果について検討ができる. | 与えられた微小変形弾塑性有限要素法プログラムが実行できる. |
解析結果について適切にビジュアライズでき,技術者として解析結果について応力-ひずみの用語を用いて表現できる. | 離散化精度と解析結果との関連について,可視化した計算結果をもとに詳細な検討を加えられる. | 右に加えて,応力-ひずみ関係式を用いて可視化した計算結果について説明できる. | 用意した可視化ソフトウェアにより,得られた計算結果を可視化できる. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
機械構造物は一般に三次元応力下にあり,材料内部に生ずる応力が降伏点を超えると機能しなくなることが多い.本講義では,そのような複雑な応力下における弾性-塑性域での応力-ひずみ関係ならびに降伏条件について基本的な考え方を学び,実際に塑性構成式を導入した有限要素解析による演習を通して,技術者として解析結果について適切に判断・説明できることを目標とする.
授業の進め方・方法:
指定した教科書を用いての座学および関連する構成式等の導出については,受講者にその計算過程を求めることで,積極的に講義に参加してもらう.
対象とする金属材料の塑性変形については,身近な例を題材に,イメージが湧くように対話形式を用いて授業を進める.これまでの知識や経験値を基に,積極的に授業および関連課題に取り組んでくれることを望む.
注意点:
本科5年次の「応用数学II」ならびに専攻科1年次に開講した「連続体力学」を履修していることが望ましい.これらの授業で用いたベクトル解析,連続体近似の話題を拡張する形で金属材料の塑性変形および関連塑性論について講義する.したがって,これまでの復習および授業の予習等,積極的に授業に参加すること.
また,実際の数値シミュレーションとしてFortranで書かれた微小変形弾塑性体有限要素法プログラムを実行し,最終課題に取り組むため,本科5年次開講の「CAE」,本科3年次開講の「プログラミングII」を履修または自学自習できることが望ましい.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
シラバス説明,材料の弾塑性変形挙動について |
これまでに学修した金属材料の変形挙動に関して,その特徴的な挙動について説明できる.
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2週 |
固体力学の支配方程式(1)・応力の平衡方程式,ひずみの適合方程式 |
応力の平衡方程式ならびにひずみの適合方程式について説明ができる.
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3週 |
固体力学の支配方程式(2)・弾性体および線形熱弾性体の構成式 |
線形弾性体および線形熱弾性体の構成式の特徴について説明ができる.
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4週 |
固体力学の支配方程式(3)・初期降伏条件と降伏関数,初期等方性/異方性材料の降伏関数 |
現象論的構成則である降伏関数について説明ができる.
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5週 |
固体力学の支配方程式(4)・加工硬化,加工硬化材に対する流れ法則,後続の降伏曲面 |
加工硬化現象の数理モデルについて,説明ができる.
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6週 |
固体力学の支配方程式(5)・弾塑性体の構成式,Prandtl-Reussの式,移動硬化則 |
等方硬化則,移動硬化則の違いについて説明ができる.
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7週 |
固体力学の支配方程式(6)・弾塑性構成式の一般化-熱弾塑性/弾粘塑性/剛塑性体 |
塑性構成式における線形熱弾性・粘塑性・剛塑性モデルの適用例について説明ができる.
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8週 |
エネルギ原理(1)・仮想仕事の原理,最小ポテンシャルエネルギ原理 |
仮想仕事の原理ならびに最小ポテンシャルエネルギの原理について説明ができる.
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2ndQ |
9週 |
エネルギ原理(2)・弾性体/弾塑性体/剛/粘塑性境界値問題と変分原理 |
指導原理としての仮想仕事の原理と有限要素方程式が定式化について理解できる.
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10週 |
有限要素法(1)・有限要素法のおさらい,弾塑性問題に対する有限要素法 |
弾塑性体に対する有限要素方程式について説明ができる.
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11週 |
有限要素法(2)・剛/弾粘塑性有限要素法 |
剛塑性・弾粘塑性体に対する有限要素方程式について説明ができる.
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12週 |
弾塑性変形解析実習(1)・弾塑性構成式を導入した有限要素プログラムの実行と変形解析(1) |
三角形要素を用いた解析対象の離散化ができる.要素分割の粗密によって近似解の精度が異なることが理解できる.
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13週 |
弾塑性変形解析実習(2)・弾塑性構成式を導入した有限要素プログラムの実行と変形解析(2) |
解析対象内の局所変形場について説明ができる.
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14週 |
弾塑性変形解析実習(3)・解析結果の可視化および検討 |
解析結果である「相当塑性ひずみ分布」「相当応力分布」を可視化することで,不均一変形場の議論ができる.
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15週 |
弾塑性変形解析実習(4)・解析結果についてのプレゼンテーションおよび評価 |
12週~14週で取り組んできた解析結果についての可視化を通して,他者にシミュレーション結果について説明ができる.
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16週 |
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評価割合
| 定期試験 | 小テスト | レポート | その他(演習課題・発表・実技・成果物) | 合計 |
総合評価割合 | 0 | 0 | 75 | 25 | 100 |
基礎的理解 | 0 | 0 | 30 | 0 | 30 |
応用力(実践・専門・融合) | 0 | 0 | 45 | 5 | 50 |
社会性(プレゼン・コミュニケーション・PBL) | 0 | 0 | 0 | 20 | 20 |
主体的・継続的学修意欲 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |